7Feb2019_曇る視界のその中で。

Bymaria

7Feb2019_曇る視界のその中で。

あるタイ人女性のキャリア観について。


36歳女性独身。
大学卒業後2社の日系人材紹介会社を経て 
米系人材紹介会社→スイス系人材紹介会社
というキャリアを積んでいる。


性格は明るく、趣味は美味しい食事や彼との海外旅行。 
海外での留学経験は無いものの 
独学で培ったビジネスレベルの英語、 
コミュニケーションレベルの日本語を操る。 


人材紹介事業という一つのフィールドで
10数年のキャリアを持つ彼女は
タイ・日本・欧米・中東と 広域にわたるクライアントを持ち


仕事に誇りと自信を持っており 
手入れの行き届いた髪が彼女の魅力を雄弁に語る。 


彼女の仕事内容は
クライアントの獲得・候補者の紹介 
4名の部下のマネジメントに会社のPRイベント参加
各大学とのリレーションや優秀な大学生とのネットワーク構築


日々めまぐるしくも充実した日々を過ごしており 
2年後の独立を目標としているのだそう。


現在4人の部下をマネジメントする彼女の月収は
55,000Baht(約19万円)に加え 
3ヶ月毎のチーム目標数字160万Bahtの30%(約170万円)が 
彼女のコミッションとして入るとのこと。
毎回必ず達成しているということなので、
ざっくりならすと75万円、
年収900万円程度というところなのだろうか。


2社前の日系の人材紹介会社にいた
34歳の時の月収は 
6万Baht〜8万Baht(21万円-28万円)ということなので
改めて日系と外資系の給与体系の歴然の差に驚く。 


そう、優秀人材の略奪戦争は 
バンコクのあらゆる場所で繰り広げられており


残念ながら一度外資に転身してしまったデキるこの層が
日系企業に戻ることはない。

きっと、それは例え同じ給与体系だったとしても。


タイに進出していて、かつタイ人に認知度の高い
多くの日系を含む外資系企業の特徴の一つは
そのトップをタイ人に任せていることに共通するような気がする。


決裁権があり、地の利に精通しているタイ人同士の意思決定のスピードは速く
日系企業が一つ一つの物事の決済を日本本社に仰いでいる間に 
ことは物凄い速さで展開する。


こうした企業は理解が早く重要なマネジメントを任せられる 
優秀な社員を採用するために日系企業の10倍から100倍以上の予算を設定し
能力に応じた給与を払うことでモチベーションをキープするのだ。




彼女はいう。

仕事が楽しいし、これ以上に情熱を注げる仕事はない。 
独立の夢に向けて、企業内で出来る経験を積むためにさらに頑張る。 


付き合い出した彼は本気でいてくれてるのか分からないから
まだ様子見だけど 上手くいったら嬉しいと思ってるの。


弟は病気で働けず、両親は離婚しているので仕送りも必要だし
長女だからしっかりしないといけないし 
日々を楽しみながら、まずは独立に向けて稼がなきゃ。 





組織で働くタイ人の給与が日本人と比較して低い、 
タイ人の能力が日本人と比較して劣るというのは、
むしろ神話になりつつある過渡期を迎えているような気もする。



今日の社内会議で、新卒の社員から

意思決定が遅く、業務が厳しく、給与が低い

というのが 日系企業のステレオタイプとして
現代の若者に認知されているとの報告を受けた。



中間層が増えゆくバンコク、
組織で働く優秀層も、給与もそれに比例して。


乱立し続ける高層ビル、延展する線路、膨らみ続ける渋滞。


PM2.5で曇る視界の裏では
凄まじい成長に伴う戦いが今日も繰り広げられている。 





Maria

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