昨日も今日も明日もきっと平和なバンコクだけれども
久しぶりに胸がギュってなるシーンがあった
アソーク駅周辺は子供を抱えて道に座っているお母さんをよく見掛ける
タイに来たばかりの頃は目にする度に
頭の中が色んな心配や思いでいっぱいになって視線を外せずにいたけれど
誰かに、あれはマフィアの大切な収入源の一つで
薬漬けにされて泣けなくした赤ちゃんと身売りされた女性を使って
外国人から募金を集めているのであって
お金を渡しても誰の何の解決にもならないと言われ
確かに毎日抱かれている子供が変わる不思議な事実を知ったようで
日本では道を歩いていて感じたことのない想いが
一見平和で笑顔で活気付いているバンコクの真ん中で膨らむのです
水曜日の夜21時過ぎ頃
アソーク駅の下でちょっと目をひく4人がいて
赤ちゃんを抱いたお母さんを無理矢理車に乗せようとしている男性3人
1人はかなりきつい剣幕でお母さんを脅しているようにも見えて
もう1人は少し距離を置いて様子を見ている
またもう1人は警察のような制服を着ていて、
ただ警察の動きとしてはすごく違和感があった
お母さんは赤ちゃんを必死に抱えて
同じようにきつい剣幕で対峙していた
明らかに様子のおかしいそのご一行を周りの大人は誰も気にする様子もなく
まるで視界にすら入らない様子で
そういえば中学生の頃、痴漢を受けた時も
周りの誰もが気づいているのに何も知らない様子で
大人は誰一人助けてくれなくて
痴漢よりもそのことのショックの方が大きくて
なんだか自分もそんな大人の一味になってしまった気がした
スーツを着たおじさんばかりのその車内で
最後は若くて社会人になりたての若い女性が助けてくれて
彼女は私の心を救ってくれた本物のヒーロで
私は彼女にはなれなかった
Grabバイクを呼んでいたのでドライバーさんからの電話に対応しているうちに
そのご一行は消えていて
危険な状況を見かけたときに警察に動画を送れるようなアプリがあったらな
なんてバイクに揺られながら思ったけど
タイに信じられる警察なんているのかなとも思ったり
街は今日もクリスマスムードで
ドライバーさんも綺麗だねって嬉しそうで
今日も私の周りは平和で穏やかで
掛け替えのない時間なのだけど
あの赤ちゃんたちと女性たちは今も何を思っているの
決して明けない暗い夜の世界
前を向くことが難しい状況にいる人たち
バンコクの街には見えない鉄柵がいくつもあって
遠い痛みの底で記憶が揺れる
Maria
5th Dec 2019 From Thursday
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